安全教育

こんにちは。

3月になっていましたね(^_^;) 梅も見頃ですし、ちょっと寒さも和らいできた感じです。

今日は東日本大震災があった日・・・8年が経ちましたが復興はまだまだ。先日テレビで、陸前高田市の状況が放送されていました。

津波対策で陸地を10m以上かさ上げして、元の地権者へ引渡しをしている取材でしたが、アンケートによると60%の方が「利用予定はない」との事。逆に売却したいという希望者が多数であるという報道がされていました。莫大な費用を費やして整備しても空き地が広がった地区になってしまうのは、どこか理想と現実のギャップが生じているのではないかと考えてしまいます。

弊社の所在地である安八町も過去には岐阜県史上最大の河川決壊が起きています。

あれから42年が過ぎ、最近は石積みなどで高上げして住居を建てられる家も見なくなりましたが、河川決壊の可能性は無くなったわけではなく、堤防整備はされているもののリスクは変わっていないと思います。

金融機関の方からお話を聞くと安八町は土地の価格が比較的安い地域のようで、中所得者の方が移住しやすい所だとか。確かに会社の周辺も田んぼが埋め立てられて年々住宅が増えています。

心配なのは、増水したときの「水の逃げ場」を担っていた田んぼが無くなったときに何が起こるのか。河川決壊の他にも新たなリスクが高まっていくようで心配になります。

過去の歴史を忘れない、分析して教訓にする事、そして伝え続ける事。とてもエネルギーの必要な事ですが、同じ過ちを繰り返さない為には大切な事だと考えます。

さて、お題に戻らせていただいて。

今月も初旬に「安全教育」を開催しました。弊社は恥ずかしながら大きな会議室がないので、町内の施設を利用していますが、実技訓練は弊社の敷地内で実施しています。

今月の訓練は「昇柱訓練」を実施しました。

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NTT様・NDS様から「高所作業車の優先使用」のご指導のおかげで、作業員の「高所作業車依存症」が増えている中、皆さんちゃんと手順通りに電柱昇降を実施していただきました。昇降自体はそれほど難しいものではありませんが、一人一人がその訓練をいかにリアルな現場環境を想定して訓練をするかが重要になってきます。

ちょうど中間あたりに投光器が取り付けてありますが、最初に訓練された方が昇るのに邪魔だったのかクリンと外側へ向けて、その後は元に戻すことなく降りられました。

投光器を元の位置に戻さなかったのは次の人の事をを思っての事だと考えますが、実際の現場でこれではいけません。できる限り装柱物は動かさず、養生もしくは躱す(かわす)ことを優先した方が良いと思います。最悪動かしたとしても用事が終わったら、動かした人がちゃんと元に戻す。

状況に応じて、一人一人がベストな判断をして訓練をしていくことが、事故やクレームを減らしていくリアル訓練になっていくと考えます。

教育の最後にいつもお話をさせていただいておりますが、今回は「馴化(じゅんか)」というお題でお話をしました。

馴化とは、心理学における概念のひとつで、ある刺激が繰り返し提示されることによって、その刺激に対する反応が徐々に見られなくなっていく現象の事を言います。

例えばビールのCM。一口飲んだ後のリアクションで「最高!」とか「うーまっ!」、「幸せー!」なんてやってますよね。皆さんもお飲みになられる方の一口目や一杯目はおおよそ近いリアクションになると思いますが、2杯目3杯目とその刺激は徐々に薄れて維持しないと思います。

その内淡々と飲み続けたり、飽きて物足りない方は、日本酒や焼酎など種類を変えて新しい別の刺激を得る行動をとります。

美味しい食べ物でも同じ味を食べ続ければ、飽きます。お料理の世界でも馴化をさせないよう、同じ食材でも味付けを変えたり、料理を出す順序などお客様を飽きさせないように工夫をしているわけです。

私達の職場でも馴化は起きます。事故には至らない小さな事で通称「ヒヤリハット」と呼んでいますが、これが馴化の芽になります。この芽を早く摘んでしまえば、事故は起きません。

最初に起きたヒヤリハットは「ドキッ」とします。しかしその出来事を対処せず、同じことを繰り返すうちに危険度が薄れて日常的なことになり、その先に待っているのは「大事故」です。

人間はミスをしますが、事前に防ぐ手段を考える事も出来ます。小さなヒヤリハットも隠さずに言える環境と、共有して次からは同じ事が起きない方法をアドバイスし合える環境を作っていく必要があります。

以前の私は、ヒヤリハットが多いと「危ない会社」と思われてしまうという考えを持っていましたが、勉強をしていくうちに、ヒヤリハットは大事故を未然に防止できるSOS信号であると考えるようになりました。

社員さんだけでなく、社員さんのご家族を悲しませることの無いよう、より安全な職場環境づくりに努力していきます。